ヒナゲシの咲くヘレニズム時代(紀元前388年・前31年)の遺跡
(シティア近郊)▲
■一足早い春の花盛り
地中海に浮かぶクレタ島はギリシア文明発祥の地として世界的に有名です。島の中ほどにある紀元前18〜15世紀建築のクノッソス宮殿の遺跡は、当時世界最高水準だった文明の面影をしのばせています。
島の面積は兵庫県ほどですが、1000kmに及ぶ海岸からイダ山(2456m)やレブカ山(2452mホワイト山脈)など高い山まで変化に富んだ地形と気候は野生の植物や、栽培植物を豊かにしています。
約1700種類の野生植物が分布していますが、そのうち10%がクレタ島固有のものです。ホーマー(前8世紀頃)は「オデュッセイア」の中でのクレタ島は「よく木の生える島」と呼んでいます。しかし、それは大昔のこと。宮殿などの建築物や造船などに木が切られ、家畜による食害もすすみました。その結果、耕地は増加しましたが、林は減少しました。涼しい山地ではアーモンド、山麓ではオリーブやブドウ、低地ではバナナやアボガドなどが栽培されています。農業によりクレタをギリシア1のお金持ちにしています。
クノッソスの遺跡とイチジク▲
島の気候は地中海気候で12〜1月に雨が多く、年平均降雨量は北岸で700mm,アフリカ側の南岸で200mm程度です。夏はほとんど雨が降らず、さらにサハラからのシロッコ、中央アジアからのメルテミといった乾風の影響を受けます。オマロスなどの肥沃地が広がりますが、島の85%が石灰岩地です。
観光客の多い夏には乾燥で地上部が枯れている植物もたくさんあります。この島の花の盛りは3月中旬〜4月中旬です。幸いなことに島の標高差が花の時期をずらすため、低地で花が終わっていても同じ花が山では咲いている場合があります。
野生のシクラメン・クレティクムはクレタ島の固有種(オマロス)▲
■飽きさせない変化に富む花々
海辺から低い山に見られるものには、フレンチラベンダー、リモニウム(スターチス)、ギンバイカ(ミルツス)、フロミス・フルティコサ、ヒルガオの仲間、球根植物としてはチューリップやクロッカス、シクラメン、アネモネ・ブランダ、アネモネ・コロナリア、ラヌンクルス・アジアティクス、グラディオルス・イタリクス、ドラクンクルスなどがあげられます。ランではハクサンチドリ類のオルキス、そしてオフィルス、山地ではジンチョウゲの仲間のダフネ・セリシア、アンチュ−サ・ケスピトサなど珍しい種類も見られます。
園芸植物の原種、聖書に登場する植物から珍しい山野草まで花好きを飽きさせない豊かな島です。
▼園芸植物で有名なアネモネ・コロナリアは赤、紫、ピンクなど入りまじって生える(オマロス)
アフリカ系のスミレであるビオラ・スコルピウロイデスは草ではなく木である
(バリ〜シティア) ▲
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▲ランの一種オルキス・シティアナはウチョウランのように崖に咲く(クレタ島中部のティソス) |