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 北海道宗谷岬より北に望まれるサハリン(樺太)、1905〜1945年の日本時代の最盛期には38万人の日本人が居住していました。そして長い空白期間ののち、最近では旅行者にも門戸がひらかれ、自生植物との出会いも少しずつ可能になりました。過疎に伴い、今ではかつての鉄道、工場、集落などの面影も薄れ、自然が良好な状態に戻ってきており、人と環境について学ぶところも多くあります。

■素晴らしい原生花園
 北海道の海岸沿いに見られる原生花園は観光地のひとつとなっていましたが、訪れる人が増えるに従い今では荒廃状態になってきています。
一方、人口の少ないサハリンの海岸ではハクサンチドリ、エゾカンゾウ、スズラン、クロユリ、ハマナシ(ハマナス)、チシマフウロ、センダイハギ、アツモリソウ、コケモモ、サクラソウモドキなどが旺盛に繁茂しています。
日本の原生花園と共通のもの、サハリンならではの構成種もあります。


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コマクサ▲
日本では高山植物ですが、サハリンでは標高500m付近で見られ、眼下には海も望めます。

■コマクサが海の近くに
 日本では高山植物の女王と呼ばれ、中部地方では2500m付近より上部に生えるコマクサ、このコマクサが、標高500m程度の山に見られます。海を望む丘の上に咲くコマクサには驚かされます。一般に高緯度ほど標高の低い場所でも高山植物が観察でき、サハリンでは固有種のホロトソウ、ホソバイワギキョウ、そしてキバナシャクナゲ、チシマギキョウなどもコマクサの近くに見られます。

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カラフトユキワリソウ▲
豊原の北方にある馬群潭(プガチェヴォ)泥火山帯の沼の周囲にしか見られないサクラソウの一種

■サハリンならではの植物
 カラフトの名前をもつカラフトアツモリソウ、カラフトビランジ、カラフトユキワリソウ、サハリン内の地名をもつカワシマゲンゲ、カシポオキナグサ、そして形態上の特色から名前のついたイトシャジンの矮性変種のホソバイワギキョウ、ヒトツバオキナグサなど珍しい植物や固有植物が数多く見られます。特にヒトツバオキナグサはかつてはオキナグサの仲間に分類されていましたが、今では花はオキナグサに似て、葉がさじ形をした類似種のない珍しい高山植物として知られています。
 昭和初期の山草ブームの折りは日本時代だったので、サハリンには専門の山草販売業者が存在しており内地に向け出荷されたりしました。
 今後はサハリンの野生動植物が開発などの被害者とならぬことを祈りたいものです。


写真をクリックすると拡大画像を表示します。 ▲ワタスゲ
アラスカや北欧のように大群生が見られます。


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ヒメホテイラン▲
日本では青森のヒバ林にわずかに生えるこのランは豊原近くの針葉樹林に生えています。

当館で見られる樺太の植物たち

写真をクリックすると拡大画像を表示します。▲クロユリ
草むらに群生、高さ60〜80cmで北海道のものと同様に背が高くなります。日本の高山にはもっと小型のミヤマクロユリが自生しています。

写真をクリックすると拡大画像を表示します。▲カシポオキナグサ
樫保岳(カシポダケ)や突阻(トッソ)山系に分布するオキナグサ

写真をクリックすると拡大画像を表示します。▲シズノオダマキ
フウリンオダマキのように花に距(※)がないのが特徴。幌内(ポロナイ)川流域には群生している場所もあります。
※距(キョ)…がくや花弁の一部が中空で細長く突出したもの。

写真をクリックすると拡大画像を表示します。▲ルイコフイチゲ
オキナグサの仲間で、北サハリンの低地から丘に生えています。(パレオ)

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(資料・写真提供:第30回咲くや塾
< 1999.2.20より>講師:森 和男氏)

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